Yahooの組織編制の話が、Cnet Japanに掲載されていた。非常に興味深く読んだ。というのは、GoogleとYahooの組織形態の違いが、まさに市場の競合性や優位性、ビジネス展開に大きく影響していることが浮き彫りになっていたからだ。
Cnet Japan: ヤフー組織再編が示すもの--次期CEO候補S・デッカー氏とは
http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20340797,00.htm?tag=nl
昨 年、Googleについて常に考えていたのが、「彼らの強さの根源は実は技術そのものよりそれを支える組織体制や企業戦略なんじゃないか」ということだっ た。一見、Web2.0ビジネスの成功という点でそれほど重要には見えない要素かもしれないが、スタートアップ、ベンチャー、SMBなどにとって、組織は イコール人間であり、人間に支えられて組織や企業、そして企業戦略が成り立っていく。また、企業やビジネス規模がコンパクトであればあるほど、個々のビジ ネス戦略の重要性が増すと同時に、組織だった戦略構想やビジネスへの取り組みが大事になってくる。
YahooとGoogleの最大の違いは、次の2点に集約されるといえるかもしれない。
・一貫した組織戦略の有無
→Googleの企業ミッションとコア戦略は今も昔も一貫している。それに比べて、Yahooの企業戦略や組織体制は、社内の重複や矛盾などが見受けられ、一貫性があるとは言いがたい。
・企業組織そのものの効率性
→
上記にも関連するが、組織的な重複は企業にとって無駄な財政支出をもたらす。その額が大きければ大きいほど、企業にとっての損害は大きい。Googleは
一見、手当たり次第に様々なサービスやプロジェクトを乱立させているかに見えるが、実はコア戦略は一貫しておりかつ社員(技術者)にもその意識が浸透して
いるゆえに、必ずしもそれらの乱立サービス・プロジェクトは大きな財政支出をもたらす損害にはなっていない。しかし、Yahooの組織戦略の混乱や長期的
な方向性の矛盾は、結果的に無駄を生み出すと同時に企業組織そのものの効率性を著しく低下させてしまっている。
Yahooの抱える問題 は、特に珍しい問題ではない。これまでも多くの企業が同様の悩みを抱え、多くの組織経営論でそのプリンシプルが説かれてきた。しかし、Googleのマネ ジメントスタイルは違う。これは、Web2.0時代に初めて登場した、新しい斬新な組織のあり方を示している。
一見、重要性が重視されにくい“組織のあり方”論。しかし、Web2.0企業にとっては、実はもっともクリティカルな課題かもしれない。
Web 2.0ブームで一気に沸き起こった流行の一つが動画共有サービスだった。YouTubeの人気とGoogleによる買収は、昨年市場の注目を集めたが、今年に入って早くも「市場淘汰」の動きがあるらしい。
CNet Japan: 絶好調のユーチューブ、迷走するライバルたち--映像共有市場で始まる淘汰の動き
http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20341278,00.htm?tag=nl
「ITの世界は1位が全て」、とはよくいったものだ。まさに典型的な例だろう。
はてさて、その他のWeb2.0サービスは一体どうなのだろうか。かつてのドットコムバブルの歴史は、やはり繰り返されるような気配が強い。
Brightcoveが、ニューヨークタイムズなど複数の投資家から約6000万ドルの出資を受けた。Brightcoveは動画配信サービスサイトを運営するベンチャーである。まさにYouTubeの競合だ。
Brightcove: http://www.brightcove.com
Brightcoveはもともと、メディア企業のブロードバンド向けコンテンツ開発を行う企業だ。ビデオ共有技術を生かして、YouTubeと類似するサイトサービスを始めた。
しかし、メディア企業向けコンテンツ開発にしても、ビデオ共有サイトにしても、昨今のWeb 2.0ブームも手伝って、競合企業の数はうなぎのぼり状態だ。どの企業も他との差別化要素の創出を知恵を絞っている。
今後の動画配信・共有サービス市場では、おそらく関連企業の淘汰と再興という、かつてのドットコム市場の歴史が繰り返されると考えられる。市場全体を通じて、では、なにか他社との差異化要素となるだろう。ここが、最も注目されるべきところだ。
日本で流行りのモバゲーが大ブレークしているらしい。一日のページビューが2億を越えた。日本最大手のSNSサイトMixiが1日のPV1億2千というから、かなりの数だ。
CNet Japan: モバゲータウンが1日2億PVを達成--モバイルではmixiの2倍に
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20341072,00.htm?tag=nl
しかし、これは日本(または中国や韓国などアジア諸国?)に特化した現象かもしれない。ヨーロッパの1部の国はともかく、米国では携帯電話を使ったウェブサーフィンは、携帯電話市場の15%程度にしか当たらないらしい。
確 かに、米国では携帯電話を使ったウェブサーフィンをするユーザーはほとんど見かけない。また携帯電話用コンテンツもほとんどない。SMSは一般的になりつ つあるが、モバイルでeメールというと、PDAなどを使ったビジネスユースか、またはパーソナルなSMSテキストメール程度で、エンターテイメントに携帯 電話を、という風潮は著しく乏しいのが現状だ。
しかし、そんな米国市場の現状を尻目に、携帯モバイル広告市場への期待が高まっている。 AdMobやThird Screen Mediaなどの企業が、携帯コンテンツを対象とした広告コーディネーションを請け負う媒体ビジネスを始めた。携帯コンテンツの世界市場をターゲットとし た戦略である。その他の関係企業としては、ゲームなどのアプリケーションに広告を組み込むGreystripe、携帯向けテレビに広告スポットを挿入する 技術を開発したRhythm NewMediaなどがある。
ちなみに、オンライン広告市場の歴史を語る際にはずすことの出来ない大御所 Googleも、携帯電話でのサイト検索サービスを提供するが、パソコン検索同様、検索結果に広告を提供するサービスを、既に試験導入済みである。他方 で、携帯電話会社も黙ってはいない。広告ターゲットの絞込みはより効果的な宣伝広告に欠かせないことから、加入者の場所、購入習慣、ウェブ閲覧の行動様式 など、特定顧客層を狙った広告販売に自社の持つ顧客情報を利用しようという戦略である。既に、Sprint、AT&T、ボーダーフォンなどの大手 企業が広告戦略を展開し始めている。
しかし、携帯電話とPCの決定的な違いはスクリーンのサイズだろう。この小さな画面にどれだけの広告 挿入をユーザーが許容するか。また、ビデオ広告やラジオ広告と同様、宣伝広告のinteraptionがどれだけサービス阻害と受け取られるかなど、携帯 電話市場に特有の課題は残る。市場の期待通り、携帯電話広告市場は成長するのか。企業の取り組みや知恵と工夫も、今後は要求されるだろう。